旅客自動車運送事業の種類
自動車運送事業には、旅客自動車運送事業と貨物自動車運送事業があり、旅客自動車運送事業は更に次のような種類があります。
1. 一般旅客自動車運送事業(他人の需要に応じ、有償で自動車を使用して旅客を運送する事業)
イ 一般乗合旅客自動車運送事業(路線を定めて定期に運行する自動車により乗用旅客を運送する一般旅客自動車運送事業)
例:市営バスなど
ロ 一般貸切旅客自動車運送事業(イ及びハの旅客自動車運送事業以外の一般旅客自動車運送事業)
例:観光バスなど
ハ 一般乗用旅客自動車運送事業(一個の契約により乗車定員十人以下の自動車を貸し切って旅客を運送する一般旅客自動車運送事業)
例:タクシーなど
2. 特定旅客自動車運送事業(特定の者の需要に応じ、一定の範囲の旅客の運送する旅客自動車運送事業)
介護タクシーとは
上記の1. ハ 一般乗用旅客自動車運送事業で、福祉輸送事業に限定した許可を受けた事業を指して一般に介護タクシーと呼びます。
その中でも、 介護保険が適用される場合と適用されない場合があります。
① 介護保険適用がある場合(訪問介護事業者が、ケアプランに組み込まれた輸送を行う場合)
利用者が支払う料金は、介護保険自己負担分(1割)と運賃(通常は②の運賃より割安に設定されています。)
② 介護保険適用がない場合(①以外の輸送の場合)
利用者が支払う料金は、運賃のみ(通常のタクシーに近い運賃)
介護保険を適用するには、訪問介護事業者が一般乗用旅客自動車運送事業経営許可を取得後、県へ届出を行う
必要があります。
許可が必要な場合
訪問介護事業を経営されている方が、訪問介護サービスに連動して有償で輸送サービスを行う場合など。
一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)許可の要件等
(1) 業務の範囲
下記の者及びその付添人の輸送に限られています。
① 介護保険法第19条第1項に規定する要介護認定を受けている者
② 身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者手帳の交付を受けている者
③ 介護保険法第19条第2項に規定する要支援認定を受けている者
④ ①~③に該当する者のほか、肢体不自由、内部障害、精神障害及び知的障害その他の障害を有する等により単独での移動が困難な
者であって、単独でタクシーその他の公共交通機関を利用することが困難な者
⑤ 消防機関又は消防機関と連携するコールセンターを介して、患者等搬送事業者による搬送サービスの提供を受ける患者
(2) 営業区域
県単位
(3)営業所の要件
1、営業区域に営業所を設置すること。複数の営業区域を有するものにあっては、それぞれの営業区域内にあること。
2、申請者が土地、建物について、3年以上の使用権限を有するものであること。
3、建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令の規定に抵触しないものであること。
4、事業計画を的確に遂行するに足る規模のものであること。
(4)事業用自動車の要件
1、申請者が使用権限を有するものであること。
2、道路運送法施行規則第51条の3第1項第8号に規定する福祉自動車であること。
介護福祉士、訪問介護員、居宅介護従業者、ケア輸送サービス従事者研修を修了している者が乗務する場合はセダン型等の一般車両
を使用可能。
3、1営業所に最低1両以上の事業用自動車が必要。
(5)車庫の要件
1、原則として、営業所に併設。ただし、併設できない場合は、営業所から直線で2キロメートル以内の営業区域内にあって運行管理者
をはじめとする管理が十分可能であること。
2、営業所に配置する事業用自動車のすべてを収用できること。1台につき、(長さ+1m)×(幅+1m)の面積が必要。
3、他の用途に使用される部分と明確に区分されていること。
4、申請者が、土地、建物について3年以上の使用権限を有するものであること。
5、建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令の規定に抵触しないものであること。
6、事業用自動車の点検、整備及び清掃のための施設が設けられていること。
7、事業用自動車の出入りに支障がない構造であり、前面道路が車両制限令に抵触しないものであること。幅員6m未満の場合は、
道路幅員証明書が必要。
(6)休憩仮眠施設の要件
1、原則として、営業所又は自動車車庫に併設されているものであること。ただし、併設できない場合は、営業所から直線で2キ
ロメートル以内の範囲内にあること。
2、事業計画を的確に遂行するに足る規模を有し、適切な設備を有するものであること。
3、他の用途に使用される部分と明確に区分され、かつ、事業計画に照らし運転者が常時使用することができるものであること。
4、申請者が、土地、建物について3年以上の使用権限を有するものであること。
5、建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令の規定に抵触しないものであること。
(7)管理運営体制の要件
1、法人にあっては、当該法人の役員のうち1名以上が専従するものであること。
2、営業所ごとに、常勤の有資格の運行管理者の員数を確保する計画があること。
3、運行管理を担当する役員等運行管理に関する指揮命令系統が明確であること。
4、自動車車庫を営業所に併設できない場合は、自動車車庫と営業所とが常時密接な連絡をとれる体制が整備されるとともに、点呼等が確実に実施される体制が確立されていること。
5、事故防止についての教育及び指導体制を整え、かつ、自己の処理及び報告等の責任体制その他緊急時の連絡体制及び協力体制について明確に整備されていること。
6、上記2~5の事項等を記載した運行管理規程が定められていること。
7、運転者として選任しようとする者に対する指導を行うことができる体制が確立されていること。
8、運転者に対して行う営業区域内の地理及び利用者等に対する応接に関する指導監督に係る指導要領が定められているとともに、当該指導監督を総括処理する指導主任者の選任計画があること。
9、原則として、常勤の有資格の整備管理者の選任計画があること。
10、利用者等からの苦情の処理に関する体制が整備されていること。
(8)運転者の要件
1、事業計画を遂行するに足る員数の有し各の運転者を常時選任する計画があること。(2種免許必要)
2、適切な常務割、労働時間、給与体系を前提としたものであって、労働関係法令の規定に抵触するものではないこと。
3、運転者は、運輸規則第36条第1項各号に該当するものではないこと。
運輸規則第36条第1項
1 日日雇い入れられる者
2 二月以内の期間を定めて使用される者
3 試みの試用期間中の者(十四日を超えて引続き使用されるに至った者を除く。)
4 十四日未満の期間ごとに賃金の支払い(仮払い、前貸しその他の方法による金銭の授受であって実質的に賃金の支払いと
認められる行為を含む。)を受ける者
(9)資金計画
1、所要資金の見積もりが適切であり、かつ、資金計画が合理的かつ確実なものであること。
2、所要資金の50パーセント以上、かつ、事業開始当初に要する資金の100パーセント以上の自己資金が申請日以降常時確保さ
れていること。
(10)法令遵守
1、申請者又は申請者が法人である場合にあってはその法人の業務を執行する常勤の役員が、一般乗用旅客自動車運送事業の遂行に
必要な法令の知識を有するものであること。(四国運輸局で、法令試験を受け、合格する必要があります。)
法令試験について
(1)出題範囲 道路運送法、道路運送法施行規則、旅客自動車運送事業運輸規則
(2)設問 筆記試験(○×方式及び語群選択方式)により20問
(3)試験時間 30分
(4)実施場所 四国運輸局 (高松市松島町一丁目17-33 高松第2地方合同庁舎)
2、道路運送法第7条の欠格要件に該当しないこと。
その他
・保険金額が対人(1名につき)8000万以上、対物200万以上の任意保険に加入する計画があること。
・運賃及び料金の設定認可申請書、運送約款の設定認可申請書の提出
・登録免許税3万円
・標準処理期間2ヶ月、許可後6ヶ月間の間に運輸開始
・事業用車両(青ナンバー)が1両必要。